臨床経験から考えるミオクローヌスの理学療法

いつも読んでいただきありがとうございます。

今回は、多くの重症心身障がい児がもっているてんかん発作の分類の一つであるミオクローヌスについて、理学療法の介入方法を私の経験を踏まえてお話ししたいと思います。

てんかん発作の病態生理

てんかん発作の病態を一言でいうと「神経細胞が集団で同期して、過剰な興奮をする状態が持続すること」である。

ここで整理しておきたいことは、“興奮”とは何か?

てんかん発作は、神経細胞の興奮なので、気持ちが高ぶってきたから発作が起こる、精神的な興奮とは違うということです。

生理的な状態の神経の伝達は、抑制性ニューロンと興奮性ニューロンは相互作用が働いています。

1つの神経細胞は多数のシナプスから刺激を受けており、どの情報を伝達するか取捨選択して感覚入力が行われています。働くシナプス、休んでいるシナプスが明確になっています。

てんかん発作時は、何らかの要因により、その領域の神経細胞がほぼ同時にいっせいに興奮します。

この神経細胞の興奮は、基礎疾患により異なります。

今回は、皮質性ミミオクローヌス発作についてお話しします。

ミオクローヌスの病態生理

ミオクローヌスは、突発的な刺激によって引き起こされる不随意運動である。四肢や顔面、頚部の筋群が瞬間的に不規則にビクッとする収縮が起こります。

ミオクローヌス発作は、部位による分類があります。

それでは、どのような刺激で瞬間的な収縮(不随意運動)が引き起こされるのでしょうか?

大きく挙げた4つの要因は、生活している時に常に入ってくる感覚情報になります。

こんな経験をしたことはありませんか?

急に寝返りをさせてしまった!強く触りすぎた!

その時、ビクッとするような反応が起こったこともあると思います。

これが突発的な感覚入力により引き起こされるミオクローヌス発作になります。

※筋肉を急激に伸張させて起こるクローヌスとは違います。

突発的感覚入力により、脳へのシナプス回路から神経細胞がいっせい大興奮状態です。

それでは、引き起こさないために、理学療法士はどのように介入していくのかを以下に書いていきます。

理学療法士の見るべきポイント

まず、見るべきポイントは、姿勢パターンになります。

え?姿勢パターンとミオクローヌスって関係あるの?と、思う方もおられると思います。

これは私の臨床経験に基づく私見にはなりますが、大切であると考えています。

なぜ、このポイントが大切になるか説明します。

姿勢コントロールは、重力下で体幹の安定性と四肢の運動性の関係性が基本にあります。

体幹の不安定性を伴う姿勢コントロールは、腰背部筋が高緊張となり、四肢の運動性が低下かつ四肢からの感覚入力が乏しい状態になります。この姿勢の使い方が持続されると、手足の末梢部位の筋肉が硬くなる、肘や膝が伸びにくくなるといった“拘縮”が各関節に起こってきます。手足も高緊張になり、感覚刺激に対して敏感に反応するようになります。

高緊張になり筋肉が引き伸ばされることにより、閾値は下がると言われており、動作時や触った時の敏感さを助長していることになります。

【閾値とは】

ある現象を引き起こすのに必要な入力や刺激の大きさを表す値である。

(脳科学辞典参照)

以上のことを図で整理します。

脳への入力は、交感神経優位、四肢からの興奮性入力増加によるダブルパンチ状態です。

次のポイントは、発生部位発生頻度の把握です。

1つ目の姿勢パターンをしっかりと評価しておくと、発生部位は予測できるかもしれません。発生頻度も同時に評価し、頻度が多い状態であると、その部位は突発的な筋収縮が起こりやすい部位であり筋肉の硬さを強める要因にもなり関節拘縮を進めます。

また、随意運動が難しい場合、関節周囲や末梢部位に浮腫が出現することもあります。

予防するためにも、発生部位、発生頻度は把握しておきましょう。

それでは、どうやって予防するのか、次に書いていきます。

介入方法

背中の筋肉の緊張を緩める

姿勢:側臥位(横向きで寝た姿勢)

手のひら全体で背中の筋肉を暖めるように、骨盤から頚部の方に触っていきます。ポイントは、背中の筋肉を溶かすようにゆっくりと暖めていきます。両側行います。

座位で体幹を伸ばす

姿勢:座位

背中の緊張が緩んでいることにより、座った時にある程度の姿勢コントロールが可能になります。お尻で座面を感じ、下部体幹筋群が収縮し姿勢に安定を与えます。

次に胸郭の可動性を高めるために、左右のお尻へ体重移動をしていきます。体重がかかった側の胸郭がひらくようにしていきます。

手足の緊張を整える

姿勢:仰向け

1)2)と段階的に介入し、体幹の安定性が起こると背中は布団に馴染む筋緊張になり、手足はリラックスします。

上肢(腕)下肢(足)は、体幹の近位関節である肩甲骨周囲や股関節周囲筋群の緊張を整え、末梢の方へ少しずつ移行します。高緊張がより低下し、セラピストの手に身体が馴染んでくると肩や股関節、肘や膝関節、手首や足首の可動域練習が可能になります。

全可動域を動かすことにより、筋肉の状態が整い、拘縮予防や突発的な感覚入力(動作刺激や触刺激)に対しても神経細胞のいっせい興奮は起こらず、興奮と抑制の相互作用を産むことに繋がります。

この3点が基本になり、その後様々な感覚刺激を入力し、感覚入力のルートを確立していくことが必要になると考えます。

まとめ

てんかん発作は、多くの重症心身障がい児がもっています。脳の器質的な変化部位から生じるてんかん発作に対しては、投薬のコントロールが必須になります。

私たち理学療法士、もしくは保護者の方が介入する目的は、“筋緊張を緩める”“過敏性を軽減する” “拘縮を予防する”“浮腫を軽減する”になります。

結果、ミオクローヌス発作の発生頻度を下げ、日中落ち着いて過ごすことができる、夜よく眠れるようになることが考えられます。

少し難しい話になりましたが、ご家庭では背中を触りゆっくりと暖める、手足をゆっくり触り暖めるところから始めてみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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