育児は大変?理学療法士が考える重度心身障がい児との関わり方とは?

Facebook
Twitter
Email

はじめに

生まれてすぐの頃は子どもとどのように関わっていけばよいのか誰しも悩ましいものです。

特に重度心身障がい児のご家族は、なおさら子どもたちとどのように関わっていけばよいのか思い悩むのではないでしょうか。

私自身も小児理学療法という関わりの中で、どのように子どもたちとコミュニケーションをとっていけばよいのかアドバイスをするときもあります。

そこで今回は、小児分野の理学療法士の立場から重度心身障がい児とどのように関わっていけばよいのかということについて考えていきたいと思います。

重度心身障がい児にも個性がある

まず、育児に正解はないとよく言われますが、重度心身障がい児にもそれぞれ個性があります。

そのため、このように関わらなければならないという決まりは基本的にはありません。

私達と同じように子どもであっても一人ひとり性格があるので、一概にこうしなければならないという考え方自体が間違いなのです。

それは、重度心身障がい児の育児であっても同じです。

大事なことは子どもたちがどんな個性を持っているのかということを理解することです。

なぜ障がいがあると関わり方が難しいのか

 

子どもに個性があると言っても、様々な障がいが考えられる場合は特に子どもとの関わり方は難しくなってしまいます。

それでは、なぜ障がいがあると関わり方が難しくなってしまうのでしょうか。

それは、周囲に前例がなく育て方のマニュアルも存在せず両親の試行錯誤で育児を行わなければならないからです。

また、子どもに障がいが見られるということに対して両親が受容するためにはある程度の期間が必要だからです。

想像してみてください。

授かった子どもが生まれてきて障がいがあると言われて、すぐに受け入れられるでしょうか。

おそらくすぐに受け入れることが出来ず、しばらくは気持ちの整理をしなくてはならない状況になるはずです。

ある程度受け入れられるようになっても、この先どのように育児をしていけばよいのか誰にも聞くことができません。

重度心身障がい児の育児とは、それだけ両親を始めとした家族にとって大変なことなのです。

重度心身障がい児の発達フォローとは?

現在は生まれてきた子どもに何かしらの障がいが考えられる場合は、出生してからすぐに理学療法士を始めとしたリハ専門職が関わることが多いです。

そのため、ご家族の心理的な受容もままならないうちから発達のフォローが行われます。

しかし、受容が十分ではない時期から子どもの将来について伝えていくことはデリケートな問題です。

この時期は、ご家族(特に母親)と話をする機会を多く設けることで少しずつご家族の受容をフォローしていくことが大切です。

早期からの運動発達のフォローはその後の予後を少しでも改善するために行われること。

少しずつでも子どもたちは成長していくことなどを伝えていくことも重要です。

理学療法士を始めとしたリハ専門職は、一定の時間をかけて子どもと関わることができるだけではなく、ご家族とも話をする機会が多く持てます。

ただ単に運動発達面を始めとした発達のフォローを行うだけではなく、ご家族の精神面での支えになることが求められます。

ご家族が受容できるようになってくれば、できるだけ早く子どもの成長の予後(今後どのように成長していくのかなど)を伝えていきます。

そうすることで一つの目標に向かって本人・ご家族を中心としたサポート体制が形成されやすくなると思います。

子どもの障がいを受け止める家族にあった発達フォロー

リハ専門職は比較的子どもたち本人やご家族と長い時間関わることができます。

しかし、それでも病院のリハビリテーション室というある意味閉鎖された空間では、子どもたちの本来の様子を知ることは困難です。

そのため、治療場面において子どもの様子にどのように違いがあるのかをご家族に伝えるようにすることが必要だと思います。

前述したように子育てに正解はなく、それは重度心身障がい児であっても同じです。

ご家族が重度心身障がい児とどのように関わっていけばよいのか迷ったり焦ったりしてしまうのは、健常児や他の障がい児と比べてしまうためです。

普段から日常的に関わっているご家族が自信を持って育児をしていくためには、少しずつでも子どもが成長しているということを実感してもらうことが大切です。

これはどんなに身体的に重度な子どもであっても言えることだと思います。

例えば、前回は視線が合わなかったけれども今回は視線を合わすことができたということでも子どもは確実に成長していると言えます。

視線が合えば次は顔を見て笑うようになるかもしれませんし、手で触れようとするようになるかもしれません。

子どもたちの一つ一つの行動には必ず意味があります。

それをご家族に伝えていくことが重度心身障がい児と関わる上で重要ではないかと思います。

まとめ

子どもを育てるということは思っている以上に大変ですし、実際にその立場になってみないと分からないことも多いです。

特に重度心身障がい児の育児は大変であり、ご家族が思い悩んでしまいやすい傾向があります。

重度心身障がい児とどのように関わっていけばよいのか、答えは結局のところないのかもしれません。

しかし、どんなに重度な障がいを抱えていてもご家族の思いは子どもたちに伝わっていると思います。

少しずつかもしれませんが、子どもたちは成長しています。

育児に正解はありませんが、自信を持って子どもたちと関わっていきましょう!

サイト内検索

最新ワークショップ一覧

カテゴリー