いつも私たちの記事を読んで頂きありがとうございます。
今回は痰を出す方法(排痰)についてご紹介させて頂きます。
この記事は
- 排痰ってなに?
- 姿勢を変ると何がいいの?
- 呼吸の介助ってどうやるの?
そんな疑問を持っているあなたに向けたものです。
排痰とは溜まった痰を出すことをいいます。
痰を出すには適切に姿勢を変えたり、呼吸を介助することが必要です。
もし、痰が出なかったとしても吸引しやすい場所まで上がってきます。吸引する時間が短くなり負担が軽くなりますね。
様々な方法を活用する事で気管切開をする必要が無くなることもあります。
痰の出し方のひとつとしてこの記事を参考にしてください。
身体に負担の少ない痰の出し方
呼吸はのびのびと心地よく生活していくためには欠かせません。
けれども、医療的ケアが必要な重症心身障がい児は安定した呼吸を維持する余裕が少ないことがあります。
余裕がないと呼吸が小さく・浅くなります。そのような呼吸になってしまうと、痰が出ないなどの問題が起こりやすいです。
呼吸や痰に対する方法としては以下のものがあります。
- 痰を出しやすくする
- 重力や呼吸で自然に痰を出す
- 痰を吸引する
- 気管切開をする
今回は「2.重力や呼吸で自然に痰を出す」方法をご紹介していきます。
痰を自然に出すときに重要になるのは
- 重力
- 呼吸
この2つです。
(参考:http://earthresources.sakura.ne.jp/er/Etc_Respiratory_Organ.html)
痰が出るにはまず、「気管」という太い空気の通り道まで痰を集まる必要があります。
気管に来る前の痰は気管支や細気管支というさらに細い場所に溜まっています。
では、具体的にどうすれば痰を出せるのか見ていきましょう!
姿勢を変えて重力で集める!
痰を出すためのポイントは「姿勢をつくる」ことです。
良い姿勢が作れていないと
- 息苦しい
- リラックスできない
といった問題が起きます。
痰を気管に集めるには重力を利用しますが、呼吸が浅いとなかなか集まりません。
痰は呼吸するときの空気の流れでも移動します。いい姿勢をでリラックスすると、ゆったり呼吸ができるので痰が集まりやすくなります。
リラックスしていない状態は筋肉の緊張が高くて胸が膨らみにくく空気が取り込みづらいです。また、筋肉が酸素を消費することもあり、息苦しくなりやすいです。
良い姿勢を取るためにはどうすればいいのか?
姿勢に効果や注意点が異なります。場合によってはかえって息苦しくなる恐れがあります。
また、関節の動きが硬いとケガをすることも考えられます。
姿勢ごとの特徴や注意点を踏まえながら、ご紹介していきましょう。
背臥位(あおむけ)
(参考:http://npo-tnk.jugem.jp/?eid=42)
あおむけは身体が床に触れる面が一番広く、安定した姿勢です。休まりやすい姿勢でもあります。
安定していると言うことは動きづらいと言うことでもあります。
注意点するのは
- 頭がのけぞらないよう枕をいれる
- 膝の下に枕をいれる
頭がのけぞってしまうとノドが狭くなってしまうので注意しましょう。
膝の下の枕はお腹の筋肉がゆるんで呼吸しやすくなるためです。
側臥位(横向き)
(参考:https://www.cape.co.jp/wpMgr/wp-content/uploads/kihon_positioning_jitugi.pdf7)
横向きは床に触れる面が狭く、他の姿勢より不安定です。
不安定なので咳をしたときに身体が丸まるように動きやすいというメリットもあります。
この姿勢をとるうえでのポイントは
- 頭の下の枕
- 上側の手を置くための枕
- 膝を曲げる
- 膝の間に枕
これらに気を付けることで、デメリットである不安定さをカバーできます。
デメリットが無くなることで、リラックスして咳をしやすい姿勢になります。
腹臥位(うつ伏せ)
うつ伏せは息苦しそうな印象もありますね。けれども顔の向きに注意すれば呼吸がしやすく、安定した姿勢です。
特徴は顔が下を向いているので舌根沈下(舌がノドに落ち込み息苦しくなること)が起きないです。また、普段はベッドに触れて動きづらい背中側の肋骨が動きやすくなります。
注意点は
- 腹臥位マットを使う(上の画像)
- 顔を少し横に向ける
座位
呼吸の原動力である横隔膜が重力で押し下げられます。すると、肺が広がるので呼吸がしやすくなります。
しかし、姿勢が安定していないと顔が下を向いてしまい、ノドが閉まってしまい息苦しくなります。また、身体が前に傾き、お腹が圧迫されてしまうため息苦しくなる。などの注意点もあります。
呼吸を助けて痰を集める!
(参考:http://www.studio-nanno.com/blog/2017/03/entry_1403/)
次は呼吸の介助についてです。
良い姿勢がとれたら手で呼吸を介助していきましょう!
呼吸を介助すると大きく・深く呼吸できます。重症心身障がい児の方は呼吸が小さく・浅くなりやすいです。原因は肋骨の硬さや呼吸する筋力が弱いことなどがあります。
そこで、手を使って肋骨の動きを助けることで痰を出す助けになる大きく・深い呼吸が出来ます。
方法は
- 肋骨に合わせて手を置く
- ふつうの呼吸を邪魔しないよう胸の動きに手を合わせる
- 息を吐き終わる少し前から、軽く胸を圧迫する
4. 3.を優しく繰り返していきましょう。
注意点は息を吐くときに体重をかけて介助してはいけません。力を入れすぎるとケガをする恐れがあります。介助する方はお子さんの横から手を添えるようにすると安全です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
以上が重力と呼吸で痰を出す方法になります。
痰に対するケアは4つありましたね。
- 痰を出しやすくする
- 重力や呼吸で自然に痰を出す
- 痰を吸引する
- 気管切開をする
今回はその中の一つをご紹介させていただきました。
重力を利用するには姿勢を変える必要があります。
姿勢を変えることの特徴はこちらでしたね。
メリット
- 痰が重力で集まる
- 呼吸が深く大きくなると、痰を吐き出せる
デメリット
- 工夫しないと息苦しくなってしまう
- 関節の動く範囲が足りないとケガの恐れがある
姿勢ごとの特徴や注意点も把握して、うまく活用してください。
姿勢を変えることは他にも良いことがあります。
- 関節の変形予防
- 褥瘡(床ずれ)予防
- 発達の促進
などの効果も期待されます。
リラックスした姿勢がとれて痰が集まってきたら呼吸の速さも重要ですね。
手で呼吸を介助することの特徴はこちらです。
メリット
- 痰が集まる
- ラクに呼吸が出来る
デメリット
- 力を入れすぎるとケガの恐れがある
医療的ケアを必要とする方の多くは、肋骨の動きが硬いので大きく・深く呼吸することが苦手です。
お子さんの呼吸のペースに合わせるように優しく、呼吸を介助していきましょう。
介助する方は力が入りすぎないよう、お子さんの横から介助しましょう。お子さんの上からだと体重がかかりやすくなってしまうので注意です。
これらの方法を痰を出すための1つとして、お子さんに合わせて参考にしていただけると幸いです。
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