いつも記事を読んで頂きありがとうございます。
身体の発達は大きくなったり、
新しいことができるようになったり
目に見える変化が多くわかりやすいですね。
ですが、眠りにも発達があるのをご存じでしたか?
眠りの変化は目に見えづらいので
意外に思う方もいるかもしれませんね。
そこで、今回は眠りの発達に関してお話させて頂きます。
なぜ睡眠が必要なの?
本題の眠りの発達に入るまえに
なぜ私たちには睡眠が必要なのでしょうか?
この睡眠の役割について確認しましょう!
大きな脳を休める!
睡眠の1番の目的は何といっても脳を休める!!!
これです!
なぜ脳を休める必要があるのでしょうか?
それは私たち人間の脳は他の動物に比べて
大きいからです。
人の脳は約1300gと言われており、
チンパンジーの約400gと比べると
およそ3倍も大きいのです。
さらに人の脳では大脳皮質とよばれる
部分が特に発達しているのが特徴です。
この大脳皮質は
- 覚える
- 考える
- 共感する
など
人だからこそできる高度な働きをしています。
そして、人の脳には古い部分(脳幹)もあり、
そこには睡眠をつかさどる場所などがあります。
つまり、脳の古い部分で睡眠をコントロールして
脳の新しい部分を休ませているわけです。
そして脳が休んでいる間には
- 脳の老廃物の廃棄
- 不必要な記憶の消去
が行われています。
睡眠と発達
以上のことから、
睡眠=脳を休める
という役割があることがご理解いただけたでしょうか。
しかし、ここで1つ気になるのが
脳が成長段階にある子どもであっても
大人と同じ睡眠の特徴があるのでしょうか?
それが実は様々な点で違いがあるんですね。
では、ここから本題である
睡眠の発達についてお話していきます。
睡眠時間は短くなる
はじめに睡眠時間が成長にともなって
どのように変化するのかご説明します。
スッキリとした覚醒状態を保つために必要な
睡眠時間は以下のようになっています。
(出典:駒田陽子,2019,子どもの睡眠ガイドブック,朝倉書店)
このように睡眠時間は
段々と短くなっていますね。
特に乳幼児では1日で15時間寝るのに対し
高齢者では7時間です。
その差は約2倍にもなるのです。
ではなぜこのような違いがでるのでしょうか?
それは乳幼児の場合、寝ている間に
成長ホルモンが多く分泌され
脳や身体の成長を促すためと言われています。
また、乳幼児のときには
体内時計が確立されていないので
睡眠時間が長くなってしまうともいわれています。
体内時計の確立
私たち人の身体には体内時計があり、
動く時間と休む時間のメリハリをつけています。
しかし、新生児はまだ体内時計が
確立されていないので
活動と休息のリズムが整っていません。
下の図を見てください。
黒い波のある所が起きている時間です。
その波の横にあるのが生まれてからの週数です。
(出典:駒田陽子,2019,子どもの睡眠ガイドブック,朝倉書店)
このように生後7週目から黒波の
1日の中で生体リズムが整い始めます。
そして生後3~4か月目には
しっかりと生体リズムが整います。
そしてメリハリのある生活は
身体の様々な点で成長を促します。
セロトニン神経系の発達
メリハリのある生体リズムは
セロトニン神経の発達をうながします。
このセロトニンは睡眠のタイミングを
調節するとても重要な役割があります。
十分な睡眠がとれることで日中の
覚醒状態を維持することが出来るようになります。
そうすると日中により多くのことを
経験し学習することができ、
身体の発達を促してくれるのです。
自律神経系の発達
以上のように脳の発達が進んでくると
続いて自律神経といわれるものが発達してきます。
睡眠と自律神経に関する点では
発汗機能がとても重要になります。
なぜならこの発汗機能は
- 寝入りやすさ
- 睡眠の質
を左右する機能だからです。
まず、寝入りに関して
人は体温が下がると眠気を感じます。
寝る前には体温を下げるために
手足から熱を身体の外に逃がすために
汗をかくのです。
したがって、上手に汗を
かくことですんなりと寝れるわけです。
次に睡眠の質に関して
寝ている間、体温を一定に保つことは
質の良い睡眠には欠かせません。
しかし、子どもは大人に比べて
その体温調節がうまくできません。
その理由は
- 発汗機能が未発達(少ない)
- 胸や頭の皮膚温が高い
- 血液量が少ない
です。
以上の理由で子どもは
熱をうまく逃がすことができず
熱がこもってしまうことが多いのです。
したがって、室温が20℃であっても
70%の子どもは寝るときに
何も掛けずに寝ています。
また、汗で熱を逃がすことが出来ない代わりに
身体と布団の間に溜まった熱を逃がすために
身体を動かすことで調節しています。
だから、子どもは寝相が悪いんですね。
まとめ
子どもの睡眠は脳の休息と心身の発達に
重要な役割を担っていることが分かりましたでしょうか?
出生~生後6か月:生体リズムの確立
生後6か月~3歳:自律神経系(発汗機能)の発達
3歳~5歳:前頭葉の発達
このように質の良い睡眠は
体や脳の発達をうながしていくのです。
そして、子どもにとって良い睡眠環境とは
熱がこもらない環境のこと。
以上を参考に寝ることの意味を
再確認して頂けると嬉しいです。